鉄道コンテナコンシェルジュ

CONCIERGE COLUMN

約40年前からの物流キーワード
「モーダルシフト」からみる社会状況の変化と社会課題

1980年代後半から始まる平成景気は、地価や株価の高騰といったバブルの様相を呈し、1989(平成元)年4月には消費税が導入されました。

1990年(平成2)年に入ると、日銀の5度にわたる公定歩合の引き上げや、政府の徹底した地価対策によりバブルは崩壊し、株価の暴落をきっかけに平成不況が始まることになります。

同年12月、市場活性化や競争促進を期待し、物流二法(貨物自動車運送事業法・貨物運送取扱事業法)が施行、トラック運送事業は免許制から許可制に規制緩和され、業界保護から自由競争に政策転換されました。

これを契機に、4万社ほどだった運送事業者は、年々増え続け2007年度末には6万3千社を超えますが、輸送需要の伸び悩み・競争激化により、2008年度末は、規制緩和以降はじめて総事業者数が前年度より減少。2009年度末以降は、ほぼ横ばいで推移している状況となっています。

時を同じくして、1990(平成2)年、創立40周年を迎えた当社は、C I(Corporate Identity)戦略のもと、企業をとりまく社会環境変化と多様化するお客様ニーズに対応するため、「大阪合同通運株式会社」から「株式会社合通」に商号を変更。さらに、C S(Customer Satisfaction)活動の推進による、顧客満足度の最大化の経営を目指し、事業部制・コンピュータシステムの本格導入など、新たな組織体制を整えていきました。
その後、2017(平成29)年4月、ホールディングス体制へ移行。「株式会社合通」は、「合通ホールディングス株式会社」に商号変更し、同時に物流事業を継承する新生「株式会社合通」を設立。同社は、2021(令和3)年4月「合通ロジ」へと商号変更し、現在に至ります。

一方、鉄道貨物輸送をみていきましょう。
1987(昭和62)年4 月1 日、国鉄が100 年の歴史の幕を閉じ、分割民営化でJ R グループが発足。貨物部門は日本貨物鉄道(JR貨物)様に引き継がれました。

当社の50年史をみると、“梅田駅構内4 号門コンテナ事務所を改装し、主管支店の本拠も発送、到着、配車、営業のデスクをまとめ、月間1 万2000 個発着を目標に、業務完遂機運を盛りあげた”と書かれており、民営化への期待が見て取れます。その梅田駅も2012年に閉鎖され、現在は「うめきた(大阪駅北地区)プロジェクト」の再開発の真っただ中ですので、本当に時の流れを感じてしまいますね。

ちなみに、今年で貨物鉄道輸送の歴史は150年となるようです。
JR貨物様が「貨物鉄道輸送150年記念特設サイト」を立ち上げていらっしゃるので、歴史などご興味のある方は、ぜひ。https://www.jrfreight.co.jp/event150/index.html

さて、トラック等の自動車でおこなわれている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換する「モーダルシフト」という用語を、ご存じでしょうか。

2015(平成27)年の国土交通省の資料では、『1981(昭和56)年の運輸政策審議会答申【省エネ対策】施策』で、「モーダルシフト」という言葉が初めて公式に使われたようです。まだ、第二次石油危機の余波が残る中、石油消費を抑制することを目的として、「モーダルシフト(※1)」を記載したとあります。当時は、省エネ対策としてのようですが、1990年以降、自動車NOX法施行などトラックへの環境規制が強まってくるにつれて、環境対策・労働力不足対策としての意味に変わってきています。
特に、1999(平成11)年 当時の石原都知事が、黒い粒子の詰まったペットボトルを振る東京都ディーゼル車NO作戦の会見は衝撃的でしたね。

社会状況の変化はありますが、エネルギー問題・環境対策・労働力不足については、現在でも、地球温暖(沸騰)化・SDGs・少子高齢化・物流2024年問題など、大きな社会課題となっています。
一括大量輸送・定時性・CO2排出量が営業用トラックの約1/10などの特長をもつ鉄道貨物輸送ですが、一方で、本資料では、“「鉄道ダイヤや荷役作業等の問題が解決すれば可能性あり」と答えた物流事業者のうち 営業面の課題を除くと、輸送障害対応は大きな懸念事項の一つとなっている“とのアンケート結果もあります。

鉄道貨物輸送は、上述のような社会課題の解決の重要な要素のひとつではありますが、進化するあらゆる輸送モード・物流施設・荷役作業など、ロジスティクスの最適化を如何に構築していくかが、社会課題解決には必要だと思っています。

次回からは、環境にやさしい鉄道コンテナをもっともっと身近に感じていただくため、鉄道コンテナに関する専門用語や輸送フロー・貨物駅情報などについて、ご紹介していきたいと思います。

*参考文献
・国土交通省 物流審議官部門 物流政策課 企画室
『鉄道へのモーダルシフトの状況 及び検討にあたっての問題意識について』(平成27年2月25日)
・数字でみる物流(2022年度)一般社団法人日本物流団体連合会
・カーゴニュース(創刊50周年特集)
・合通50年のあゆみ
・国土交通省HP

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