2016年03月07日
【流 通】中高生のスマホ依存を改善するホームアプリ「勉強うながしホーム」
KDDI研究所は、中高生のスマートフォン(以下 スマホ)の長時間利用問題を改善させ、子どもたちの勉強を支援することを目的に、ホームアプリ「勉強うながしホーム」を開発した。
青少年のスマホの長時間利用の問題について、内閣府の調査(※1)によれば、高校生のスマホの平均利用時間は1日2.58時間、10人に1人は5時間以上の利用といった結果が報告されている。程度を超えた利用は、青少年の学力低下や体調不良、トラブル経験の増加といった事態に陥る可能性があり、その改善が求められている。そこで、KDDI研究所では、中高生が自律的に適切なスマホの利用を実現させるために、“うながし”という心理的なアプローチを用いたホームアプリケーションを開発した。
「勉強うながしホーム」は、アメリカの経済学者Thalerと法律学者 Sunsteinが提唱する“Nudge”の設計思想(※2)をもとに、スマホ利用を物理的に制限することなく、情緒的・客観的に行動変容をうながすコンテンツを表示することで、利用者自らがスマホを適切に利用できるように支援する。ウェブ/アプリフィルタリングといった従来の手法とは異なり、心理学的なアプローチで中高生に行動変容をうながす。KDDI研究所は、“Nudge”の設計思想を独自に再設計し、アプリを開発した。
「勉強うながしホーム」は、一般的なホームアプリと異なり、「通常モード」と「勉強モード」の2つのモードを持ち、それらを活用することで、過度なスマホの長時間利用を抑制するとともに、勉強に役立つアプリなどの適切な利用をうながす。
それぞれのモードで、利用したいアプリを登録することができるほか、利用時間により変化する背景画像やウィジェット、100以上のポップアップメッセージ、スマホ利用時間表示などのうながしコンテンツを表示する。
「通常モード」では、適切なスマホ利用への気づきを与え、過度な利用を自ら控えるようにうながし、「勉強モード」では、勉強に役立つアプリのみを登録しておくことで、スマホが手元にあっても勉強に集中することができる。
KDDI研究所は、今後、トライアルを通じ、“うながし”という心理的なアプローチの有効性を評価していく。
※1 内閣府,“平成26年度青少年のインターネット利用環境実態調査,”2015.
※2 Thaler & Sunsteinが提唱する“Nudge”の設計思想とは、行動経済学の研究分野にて知られている考え方で、”Nudge”とは「選択を禁ずることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャのあらゆる要素」と定義される。(R.H. Thaler, and C.R. Sunstein, “Nudge: Improving Decisions about Health, Wealth, and Happiness,” Yale University Press, 2008.)
※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です
投稿者:gotsuat 09:45| 流通